2016/08/18

メキシコ公演を終えて

皆様、お久しぶりです。先日、無事ソロダンス『カイロー』メキシコ公演を終え、帰国いたしました。
現地での様子を簡単に(とはいえ少し長い文章ですが)お時間ある時にお読みください!

今回、クラウドファンディングにご協力いただいた皆様をはじめ、皆様に本当に暖かいご支援をいただいたおかげで渡航が実現し、本当に充実した一週間を過ごすことが出来ました。
本当にありがとうございました。
今後も皆様から頂いたご恩を、様々な形でお返ししていければと思っています。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。                              
                                                       京極朋彦

【メキシコ公演を終えて その1】

 改めて、昨日メキシコ公演から帰国しました。到着から荷物が空港に届かなかったり、リハーサルやスケジュール、当日の上演順などなど、ここには書ききれない程のトラブル尽くしの旅でしたが、世界中のダンサー、カンパニー、観客と出会えた素晴らしい旅でした。
僕の作品は二日間共、とても大きな拍手を貰い、フェスティバルディレクター含め様々な人に「素晴らしかった!」と言って貰えました。

「メキシコ人はスペインから独立してからずっと、自分のアイデンティティーを探している」これは今回、お世話になったメキシコの国際交流基金の方が仰っていた言葉です。...
そのためメキシコでは首都はもちろん地方、地域に至るまで文化政策にかなり力を入れているそうで、その背景には植民地時代から根強く残る格差や差別、治安の悪化などの問題を文化で乗り越えようという意志があるようです。

メキシコシティは都会ですが、郊外の街はまるで時が止まったかのような田舎町でした。しかしそこはヴィヴィットな色に溢れ、褐色の肌の人々が生命を謳歌するように暮らしていました。はためく洗濯物、市場の野菜、行き交う車には絵の具をぶち撒けたような原色の強さがありました。後でメキシコ人にその話をしたら「あんな田舎に観光客は絶対に行かない」とビックリされました。かなり危ない場所だったみたいですが、ザ・メキシコを体感出来て良かったです。
メキシコシティの中心(とくに私が滞在した辺りは東京でいえば銀座のようなブランドショップが立ち並ぶ区画)と郊外の私が訪れた駅の終点の街には大きな“差”があり、メキシコ人が辿って来た“アイデンティティーを探す旅”の片鱗を見た気がします。
地下鉄に乗ってみてもスーツを着たビジネスマンはスペイン系が多く、歌うような物売り、車内でギターを奏でるミュージシャン、物乞いなどはメキシコ系が多かった気がします。

 博物館ではマヤ、アステカに通じる先住民族の歴史を見る事が出来ました。国とは何か?歴史とは何か?土地とは?人とは?そしてアイデンティティーとは何か?それらの問いは確実に私の踊りの中に影響を及ぼしました。
短い間でしたがとにかく靴底をすり減らして歩く時間があって良かったです。

【メキシコ公演を終えてその2】

さて、話をフェスティバルに戻しますと、文化を国政の要と捉えているメキシコには年中、芸術祭、映画祭、音楽祭などがあり、もちろんダンスフェスもかなりあります。その中でも、僕が今回参加したフェスティバルのディレクターはとても若く、フェス自体も第一回目。各所に至らなさはありつつも(まあこの辺は自分も通って来た道なので人の事は言えません!)とても勢いのあるフェスで、観客からも凄く熱量を感じました。
ウィーンの時もそうでしたが、観客が終演後、直接質問や感想を言うために列をなして待っていてくれました。こういう現象はなかなか日本にはありません。あと、みんな色んな意味で距離が近い 笑
彼らと直接話せた事がとても嬉しく、長いフライトに耐えて来た甲斐があったなと思いました。
観客の中には今年TPAMのスピードネットワーキングで出会ったメキシコシティアートセンターの主任ディレクター、エレノ・グスマンさんが見に来てくれて、滞在中に実際彼のアートセンターも見学する事が出来ました。メキシコシティのダウンタウンに位置する丁度、横浜の急な坂スタジオの...ような施設で、音楽大学と併設し、ダンス専用の4つの稽古場と談話スペース、倉庫、事務所などを持った所で、メキシコのダンスを国際的に支えています。
一通り見学し終わった後、彼のデスクに座った瞬間「で、朋彦、いつ、また来る?スケジュールを教えてくれ。」と言われました。英語だし、彼のキャラクターと相まって、なんか海外ドラマのワンシーンみたいでしたが 笑
どこまで実現できるかわかりませんが、来年、メキシコシティでの滞在制作の話も出来、これから具体的な実現プランを練って行けそうです。

長い帰りのフライトで思ったのは、

もっと頑張らなきゃならない。
もっと強くならなきゃならない。
そしてもっといい作品を作りたい。
という事でした。
一人で一週間、誰も知らない海外で、公演をした。だから何なのか?
それで終わらず、次へ繋げる為にするべき事は山ほどあります。
ひとまずはお腹を壊す事も無く(ほぼ毎日色んな場所でタコスの食べ比べしてましたが)スリに会う事も無く(スリが本当に多いみたいです)無事に帰って来られて一安心です。
クラウドファンディングでご協力頂いた方々、各所で応援して下さった方々に深く御礼申し上げます。
今回の経験を元に再び創作活動に励みます!
ちなみに今回メキシコで上演したソロダンス“カイロー”を女性ダンサーに振り写す“女性版カイロー”の上演が9月にありますので詳細は以下リンクをご覧ください!
https://www.facebook.com/events/1018946201515999/?ti=icl
そしてこの長い文章を最後まで読んで頂いた皆様、ありがとうございました。