2015/01/01

2015年、決意表明!

皆様、あけましておめでとうございます。

本当に長い間、まったくブログを更新していませんでしたが、その間、いろいろありまして。
気が付けば2015年になってしまいました!

その間、何があったかといいますと、まあいろいろあったわけですが、結果的に私、京極朋彦は
しばらくの間、活動拠点を東京に移すことになりました。

「京極」という名字から、京都出身というイメージを持たれている方もいるかと思いますが、出身は東京でして、大学から京都に行き、舞台芸術活動を始めたわけで、正確には、拠点を「東京に移す」というよりは東京に「戻ってきた」という事になります。

東京にいた高校時代までは、バスケしかやってなかったので、ダンス関係の知り合いはほとんどいなかったのですが、2009年のこまばアゴラ劇場夏のサミットに参加してから、少しずつ東京に知り合いも増え、東京の振付家の作品に出演させていただく機会も増えました。

しかしながら自分のダンスの出発点である京都を完全に離れるわけではありません。
初めて野外で踊った鴨川。仲間たちと作った数々の舞台。様々な出会いと別れがあった京都を僕は一生の財産だと思っています。

この三年間、そんな京都のダンスを盛り上げたいとKYOTO DANCE CREATION(以下KDC)という、若手振付家の作品発表と交流の場を立ち上げ、継続してきました。

自身が主催する「京極朋彦ダンス企画」の発足と同時に立ち上げたKDCは、東京と京都、二つの都市を行き来する中で立ち上がってきた問題意識をもとに始めたものでした。
それは、「京都には競争がない。作家がいない。京都外で作品を積極的に発表していこうとする若手振付家がいない。」そんな考えと不満から立ち上げたものであると同時に、「人の用意した場ではなく、自分自身を成長させる場は自分で作る」という決意表明でした。

生意気にも僕は「京都を変えたい」と思っていました。

しかしこの三年間の継続を経て、感じていることは、「変わらないのが京都の良さでもある」という事でした。企画を継続して行くにつれて、ダンスを始めた京都という街が「京都」として見えてきたというか、当たり前がなんなのかが見えてきました。

僕のような、ダンスなど踊ったこともない人間がダンスに出会い、時間と環境に恵まれ、バイトしながらダンスを続けていける。ダンスを通して人と出会える。そんな環境と寛容が京都にはあります。

深く、長い呼吸と、哲学が許される空気、山と川に育まれた暗闇の濃さが京都にはあります。

そんな環境でダンスに出会えたこと、ダンスを続けられたことは僕にとって一生の財産です。
これからもその気持ちは変わりません。

しかし僕自身、30歳という節目の年を迎え、これからのダンスとの向き合い方を考えた時に、この環境と寛容の中からもう一歩出てみたい。挑戦してみたいという気持ちが出てきました。

三年間、自身の振付作品制作とKDCに参加してくれた全国の作家たちとの場の共有の中で僕は、アーティストにとって作品を作る環境は作品そのものに大きく影響するという事を学びました。

その場所にいるから浮かび上がってくる問題意識と、その環境、制約の中で立ち上がってくるものが作品を大きく左右するという、文字にしてしまえば単純なことを、実感を持って感じられた三年間でした。

このタイミングで東京に拠点を移すことを僕は、新たな作品のための環境のシフトと考えています。
もう二度と京都には帰らないとか、そういうことではなく、ダンサーとして、振付家としての第二歩を踏み出す機会と考えています。

だから、京都のダンサー仲間や、スタッフ、舞台関係者のみなさんには特にお別れは言わずに、ひょいと東京に来てしまいました。
というのも寝泊りするところが東京になったというだけで、これからも京都での活動は継続して行くつもりだからです。(みんな行ったときは泊めてね)

具体的には現在、京都でのワークショップを企画しています。
また今年の11月、2012年のKDCで上演した京極朋彦ダンス企画『talking about it』という作品をオーストリアのウィーンで、現地のダンサーに踊ってもらい、改訂版として上演するというプロジェクトが動き出しています。

8月にはそのリサーチのため、二週間ほどウィーンに行ってくる予定です。
この企画はKDC発足年の2012年、時を同じくしてウィーンで発足したダンスフェスfiffo programの主催者、佐幸加奈子さんとの共同企画です。

彼女はこの三年間、同じ振付家であり、企画の主催者でもあるという立場の苦労や喜びを、ひそかに分かち合ってきたいわば同志。いつかお互いの企画と、その経験を繋げたいという思いから三年越しに実現したプロジェクトです。

「京都から世界へ!」と豪語していたKDC。主催者が先陣を切らなければ、説得力がない。ということで、まずは主催者である僕から、挑戦してきたいと思います。

と、いうことで今年のKDCはこの「KDC×ウィーンプロジェクト」の為に、お休みになりますが、来年以降、今度はウィーンから作品を呼んで来たり、引き続き京都から「世界を目指す」若手振付家の作品発表と交流の場として継続していこうと考えています。


ということで、僕の人生にダンスとの出会いをくれた京都への恩返しと、かけがえのない仲間たちの為に、僕はさらに、さらに先に進みます。

東京では年明けから小野寺修二さんのカンパニーデラシネラ新作のリハーサルが始まります。
詳しくはNEWS欄をご覧ください。

今までお世話になった皆様、そしてこれからお世話になる方々、どうぞ2015年も、よろしくお願いいたします。

2015年 元旦 京極朋彦