2014/03/21

『幽霊の技法』終了!!

さて、遅ればせながらHAGISOでの『幽霊の技法』デュオバージョン終了しました!

撮影:森 英嗣

会場にお越しいただいた皆様、居間theaterの皆様、そしてHAGISOの皆様、本当にありがとうございました!
そしてなにより作品に出演していただいた伊東歌織さんに感謝させていただきます。

今回の『幽霊の技法』は僕にとって、初めての挑戦が沢山あり、今後の活動に大きな影響を与えるであろう作品になりました。
京都のソロから始まり、東京でのソロ公演、東京でのデュオへの改訂、そしてHAGISOという特殊な空間での上演。
同じテーマでここまで様々なことを試したことは、今までありませんでしたし、HAGISOという上演空間とは、場所だけでなく、そこを運営している人々、カフェで働く人々、そこを拠点に活動するグループと共に作品が作れたことは、本当に楽しかったです。

そしてこの公演を機に、居間theaterのメンバーとより深く関わることができたし、衣裳さんの田村香織さんや、写真を撮っていただいた森 英嗣さんともつながることができて、本当に嬉しかったです。

作品に関しては、今までの僕の作品でやってきたことが凝縮された感じになりました。
デタラメ語、音楽の使い方、構成、自分が目指すというよりは、いつも同じところに戻ってくるような共通のテーマなどなど、発見が沢山ありました。

ダンサーへの振り付けに関しては、まだまだ未熟な部分が有り、自分のやりたいことを伝え、実現するのに多くの時間がかかります。しかし今回は本当にダンサーに助けられ、はじめて自分の振り付けがダンサーによって予想を超えていくという体験をしました。
自分がダンサーで作品に関わる時も、振付家にこのような体験をしてもらえるダンサーにならなくてはいけないなと、感じるのでした。

そして今回、HAGISOならではの観客(ダンス関係というよりは音楽家や他の分野のアーティスト)の皆さんに作品を見ていただくことができて、様々な意見をもらうことができ、新鮮でした。

『幽霊の技法』シリーズは今後もどこかで再開できればと考えています。
ひとまずは今回の公演で得たものを胸に、次のに向けて頑張ります!

ダンスを続けること、作品を発表することは本当に大変ですが、そのおかげで様々な人と出会うことができる。
そして続けているからこそ再会があります。また一つ、続ける理由が見つかった。僕にとって、そんな公演でした。

最後にもう少しだけ、森さんに撮っていただいた舞台写真を!






2014/03/14

新作『幽霊の技法』に寄せて

いよいよ明日から日暮里HAGISOにて、新作『幽霊の技法』が上演されます。
元々ソロ作品だった本作をデュオにリメイクしたこの作品に、やはり同じタイトルをつけたのは、この作品がソロの時よりも、より明確に自身の目指す方向を指し示してくれたように思うからです。

それはこの作品のテーマに関してもそうですが、振付家として人と作品を制作する時の姿勢や、作家としての方向性についても、この作品は多くのことを自分に与えてくれました。

去年11月から動き出した幽霊の技法プロジェクトの現在が、この作品に凝縮されています。
それは同時に、現時点での京極朋彦を余すとこなく、見ていただけるモノになっているということでもあります。
同時期公演の居間theaterさんの作品と合わせて(最後にリンク先を添付しておきました!)ぜひ、会場に遊びに来てください。皆様にお会いできるのを楽しみにしております。

京極朋彦

<新作『幽霊の技法』に寄せて>


『幽霊の技法』は京都を拠点に活動している私が、東京での発表を念頭に作り始めたソロダンス作品で、震災以後、東京と京都では震災の捉え方が全く違うという実感をもとに作られ、今年1月に日暮里d倉庫で上演されました。今回上演されるのは、そのソロダンスを元に製作されたデュエット作品です。

 
2011年以降、東京では様々なジャンルにおいて「幽霊」という題材で作品を製作する作家が増え出したように思います。それらの作家が直接の「死」や「死者」ではなく、少し距離を置いた「幽霊」を扱ったことは、東京という都市が福島からの距離に応じて出した、一つの応答であったように感じています。

実際に大きな揺れを感じ、多くの人が帰宅難民となった東京。余りにも大量の死をテレビで知り、見えない放射能の危険にうっすらと晒された東京の“間接的ショック”が「死者」ではなく「幽霊」という応答を示した。そのことは、京都から見て納得のいくものでした。なぜなら、京都では東京よりも震源地から距離があり、“間接的ショック”ですら少なかったように思うからです。(どちらがいいと言うわけだはなく、あくまで私の個人的見解ですが)

今回の『幽霊の技法』デュエットバージョンは、そんな東京を拠点に活動しているダンサーを迎え、東京でのリハーサルを経て製作されました。

ソロを作った時から、私はこの作品で「幽霊の話」をもってして「命の話」をしたいと思って来ました。そのことが、東京のダンサーと製作環境、発表する場所の力に支えられ、より明確になったように思います。だからこそソロもデュエットも同じ『幽霊の技法』というタイトルにしました。

やりなれた製作環境を離れ、新たな挑戦となった今回のこの作品には、本当に多くの方のご協力を賜りました。この場を借りて厚く御礼申し上げたいと思います。

京極朋彦
 
詳細情報はコチラ

2014/03/07

ご無沙汰すぎて

さて、気がつけば終わっていた2月。
満身創痍で迎えた3月。
やっとブログを書く時間ができました。
というのも現在、様々な企画を同時進行していまして、バタバタしています。

ひとまず近況報告

①KYOTO DANNCE CREATION vol.3応募者締め切り

先月2月末締切だったKYOTO DANNCE CREATION vol.3参加振付家募集には昨年に比べてなんと3倍以上の応募がありました!
嬉しい限りです。三年目にしてやっとこの企画が認知してもらえ、さらに興味をもって応募してくれた方が増えたということは企画者冥利に尽きます。
関西に、若手が作品を出せる場をつくりたい!そして競い合う仲間が欲しい!という思いが少しずつ形になってきています。

今回は近畿圏から2組の振付家を選出、京極朋彦も作品を上演し、更にはゲストに京都でもお馴染み、Baobabの北尾亘氏のD-incline projectが参戦。
ラインナップは来週までに出ますので、ぜひ楽しみにしてください!

②横浜アートプラットホーム 老松中学校芸術鑑賞プログラム『カイロー』ショートver.&WS
 
 そして3月4、5日は横浜の中学生に『カイロー』を見てもらいました!この作品は無音の作品なので、とにかく上演中にみんな素直に「すげー!」「ヤバイ!」という声が聞こえてきます。
ちょっと間をおくと、「からの〜」って合いの手入るし、「飛ぶんじゃね?」「もっかい来るんじゃね?」って予想大会が始まり、楽しんでくれたみたい。
ラストシーン、カーテンを開けて「祝卒業」の文字が見えたときは、みんな大盛り上がりでした。
いやぁ十年以上ぶりにレタリングとかして、この文字作るの苦労したけど、子供たちの笑顔に報われました!!

そして終演後のWSでは、まず僕が普通に日本語をしゃべれるということに衝撃を受けた中学生達(笑)
短い時間でしたが彼らには、目をつむり、他者と出会うというワークを通じて、普段使うことのない感覚を体験してもらいました。
そしてアラサーにしてこんなことをやっている人がいるという事実に若干引いたり、希望を持ったりして帰って行きました。なんだか卒業生を送り出す先生のような清々しい感覚に包まれ、ジ~ンとしてしまいました。


③3月8日、9日 HAGISO パフォーマンスカフェ


さて、ここからは今後の予定になりますが、これもおなじみ!メニューと同じくパフォーマンスをオーダーできるパフォーマンスカフェが代官山も含めて4回目を迎えます。

なぜかわたくし、皆勤賞でして毎回参加させていただいているわけですが、これ、なんというかオーダーが入るまで誰と、どんなパフォーマンスをどのようにお客さんに届けるかが決まっていないので、ディレクターの稲継美保さん(居間theater)のインカム指示を固唾を飲んで待つという緊張感が毎回半端ないです。

ただ、劇場と違ってそれぞれのパフォーマーが得意技を惜しみなく、垣根なく披露できるという点ではパフォーマーにとってもお客さんにとっても幸福な時間が流れています。
いい企画だから4回も続くんです。
KDCも負けないようにしないと!ちなみに僕は8日のみの出演になります。ぜひお越し下さい!


パフォーマンスカフェ情報 http://hagiso.jp/collaborate/ima-theater/p-cafe2/



④3月15、16日 HAGISO 『幽霊の技法』Duoバージョン


はい。1月にソロで上演された『幽霊の技法』がDuoになって帰ってきます。
自身初の東京のダンサー伊東歌織さんに出演いただきます。

東京という環境で東京のダンサーと作品を作るということは、京都とは全く違います。限られた時間の中でいかにおもい描く形を模索していくか?
ソロという大本がありつつもDuoという可能性にどれだけ漕ぎ出していくことが出来るか?
現在、挑戦中です!

会場はパフォーマンスカフェと同じく日暮里HAGISO
なんとここ、谷中の墓地のど真ん中にあるのです。「劇場は墓地の中に立てられるべきである」と言ったのはジャン・ジュネですが、この作品、HAGISOでしか見られない仕様になっておりますので、ぜひ会場にお越し下さい!

HAGISO一周年記念イベント
http://hagiso.jp/collaborate/ima-theater/1shunen/


⑤4月19日 六本木アートナイト 伊藤キム監修パレード『ふわりたい ながれたい つなぎたい』


この企画は毎年六本木ヒルズ界隈で行われているオールナイトアートイベント、六本木アートナイトのプログラムの一つで、伊藤キムさんの監修のもと、演出部として振付を作っています。
当日は140人の大パレードになる予定ですが現在三人で試行錯誤中です 汗

昨日はパレードを一緒に盛り上げてくれる日本女子体育大学の学生達に振付を授けに行きました。さすがニチジョ!本当にパワーにあふれた子達で、本番が楽しみです!

近日振付動画と共に、一般参加者募集が始まるようです!
一緒に六本木の街を練り歩きましょう!

六本木アートナイトHP
http://www.roppongiartnight.com/2014/index.html



といった感じで、もうとにかくやること多くて、やるしかないっていう現状。
その中で感じることはやっぱり「継続は力なり」と「人の縁の大切さ」です。

僕が舞台芸術に関わり始めたのは大学から、本格的にダンスを始めたのは卒業後だったのですが、そこからコツコツと続けてきたこと、繋がった人の縁が、様々な形で実を結び、今があります。

4年前に苦労して作った『カイロー』初演(こまばアゴラ劇場)を見てくれた、急な坂スタジオの宮武さんが今回の横浜のWSをコーディネートして下さり、宮武さんもメンバーである居間theaterの稲継さんが第1回のパフォーマンスカフェに誘っていただき、今回が4回目です。

また、こまばアゴラ劇場、夏のサミットに参加したことが僕にとって初めての外部での振付作品、並びに東京初公演で、このことはKYOTO DANCE CREATIONの構想に深く影響していることは間違いありません。

また、大学時代、集中授業に来てくださった伊藤キムさんの2012年、京都造形大学での作品『go-on ~からだの森をゆく~』に出演した時に共演した、伊東歌織さんに今回の『幽霊の技法』に出演していただくことになり、2007年に出演し、共にシンガポールにも行ったGRINDER-MANの伊豆さんにアートナイトのお話をいただき、、。

と、いった具合に様々なことが折り重なって、今があります。だからこそ一つ一つ。今目の前にあることをコツコツと続けることが、未来につながっていくのだと信じるばかりです。

ちょっといま、いっぱいいっぱいですが、必ず良い未来があると信じて、がんばります。
また、ブログ更新が滞ってしまうかもしれませんが、ぜひ皆さん、各会場でお会いできるのを楽しみにしております。
よろしくお願いします!!!

京極朋彦