元々ソロ作品だった本作をデュオにリメイクしたこの作品に、やはり同じタイトルをつけたのは、この作品がソロの時よりも、より明確に自身の目指す方向を指し示してくれたように思うからです。
それはこの作品のテーマに関してもそうですが、振付家として人と作品を制作する時の姿勢や、作家としての方向性についても、この作品は多くのことを自分に与えてくれました。
去年11月から動き出した幽霊の技法プロジェクトの現在が、この作品に凝縮されています。
それは同時に、現時点での京極朋彦を余すとこなく、見ていただけるモノになっているということでもあります。
同時期公演の居間theaterさんの作品と合わせて(最後にリンク先を添付しておきました!)ぜひ、会場に遊びに来てください。皆様にお会いできるのを楽しみにしております。
京極朋彦
<新作『幽霊の技法』に寄せて>
『幽霊の技法』は京都を拠点に活動している私が、東京での発表を念頭に作り始めたソロダンス作品で、震災以後、東京と京都では震災の捉え方が全く違うという実感をもとに作られ、今年1月に日暮里d倉庫で上演されました。今回上演されるのは、そのソロダンスを元に製作されたデュエット作品です。
2011年以降、東京では様々なジャンルにおいて「幽霊」という題材で作品を製作する作家が増え出したように思います。それらの作家が直接の「死」や「死者」ではなく、少し距離を置いた「幽霊」を扱ったことは、東京という都市が福島からの距離に応じて出した、一つの応答であったように感じています。
実際に大きな揺れを感じ、多くの人が帰宅難民となった東京。余りにも大量の死をテレビで知り、見えない放射能の危険にうっすらと晒された東京の“間接的ショック”が「死者」ではなく「幽霊」という応答を示した。そのことは、京都から見て納得のいくものでした。なぜなら、京都では東京よりも震源地から距離があり、“間接的ショック”ですら少なかったように思うからです。(どちらがいいと言うわけだはなく、あくまで私の個人的見解ですが)
今回の『幽霊の技法』デュエットバージョンは、そんな東京を拠点に活動しているダンサーを迎え、東京でのリハーサルを経て製作されました。
ソロを作った時から、私はこの作品で「幽霊の話」をもってして「命の話」をしたいと思って来ました。そのことが、東京のダンサーと製作環境、発表する場所の力に支えられ、より明確になったように思います。だからこそソロもデュエットも同じ『幽霊の技法』というタイトルにしました。
やりなれた製作環境を離れ、新たな挑戦となった今回のこの作品には、本当に多くの方のご協力を賜りました。この場を借りて厚く御礼申し上げたいと思います。
京極朋彦
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