2014/07/17

KYOTO DANCE CREATION vol.3 参加振付家紹介パート5

さて、本日はいよいよ小屋入り初日です。
KDC参加振付家紹介パートもラストになりました。パート5、ラストを飾るのは大阪を拠点に活動する淡水さんです。


主宰の菊池航さんとは先月Dance Fanfare Kyoto 02でご一緒させていただきました。
淡水さんは近畿大学の卒業生を中心に構成されたダンスカンパニーで、「関西で活動する若手のダンスカンパニー」として、最初に思いつくのが淡水さんというくらい、関西では継続的に活動されている団体です。
KDCには一年目から、いつか参加していた

だきたいと思っていた団体で、今回念願かなっての参戦となりました。
先日、大阪の稽古場にお邪魔したときは、とにかく稽古場が楽しそうでした。
基本的には振付家の菊池航さんが場をすすめて行くのですが、その要求にとにかく応えていくのがメンバーの皆さんです。
意外とむちゃぶりの嵐 笑
作品はおそらく本番直前まで進化することと思います。
やはり団体を継続していくということは人間同士の関係を築いていくことに等しく、彼らのチームワークには見取れてしまいます。
「チームって、いいね!」
今回の作品タイトルは『空から くる』
淡水というカンパニー名から、今まで「水」のイメージから作品を作ることが多かったということですが、、今回は「空」ということで、結構躍動感のある動きが展開しますが、淡水特有の浮遊感もあり、ずっと見ていられる感じがあります。
この「ずっと見ていられる感じ」というのが淡水さんのほかのカンパニーには見られない
稀有なところで、そんなカンパニーを6年継続しているのは、菊池さんの才能だと思っていて、今回その振付風景を間近で見ることができて、とてもよかったです。

しかも、今回参加の五人はそれぞれが粒揃いの精鋭達ですので、是非会場に足をお運び下さい!お待ちしております!

2014/07/16

KYOTO DANCE CREATION vol.3 参加振付家紹介パート4

さて、本日はKDC参加振付家紹介パート4といたしまして、私事ではございますが、京極朋彦×山崎阿弥の紹介をを書かせていただきます。写真は自分で撮れないので、リハーサル映像を切り取ったもので、ちょっと荒いのですが、、、。

今回この二人は構成・演出・振付に連盟でクレジットさせていただくことになりました。

それはリハーサルを経て、二人共がその役割を担っていることにたどり着いたからです。

そして何より、そもそも僕自身が、振付家として、阿弥さんを上手く振付できるような力がないというか、その必要性を感じなくなっていったというのが本音です。


山崎阿弥さんは声のアーティストであり、映像作家であり、インスタレーションも作り、絵もかく人であります。
阿弥さんを文章で紹介するのはとても難しいのですが、今まで彼女と何度か共演させていただいた中で僕に言えることは、全身全霊でぶつかっていかなければ、負ける。そんな人です
だからこそ二人がフラットに、名前を連ねること。互いにアーティストとしてその場に立つことが作品をより面白いものにするのではないか?自分も阿弥さんも大いに鍛えられ、新たな関係性が生まれるのではないかと考えました。

僕が阿弥さん初めて出会ったのは2012年のWhenever Wherever Festivalで、その時は挨拶させていただいただけだったのですが、同じ年に阿弥さんが出演された公演を見て「この人はすごい!」と思い、翌年のWhenever Wherever Festivalで一つのプログラムをやらせていただくことになった僕は、真っ先に共演をお願いしました。

そのときは「この作品は僕に任せてください」なんて言って、構成をかなり決めてやっていました。
今となっては恥ずかしいですが、勿論それはそれでやりきりましたし、良かったと思っています。
その後、阿弥さんが青森にレジデンスアーティストととして滞在された時に呼んでいただき、阿弥さんの製作されたインスタレーションとWS参加者の皆さん、そして阿弥さんと共に踊らせていただきました。
僕はこの青森滞在で、阿弥さんとの共演の、他の人にはない特別なところを見出した気がしました。それはネガティブな意味でもなんでもなく、構成や段取りなんて「なんでもいいんだ」という気持ち、感覚です。
それは何もかもがデタラメで良いという意味ではなく、阿弥さんとの関わりの中で生まれてくるものの中には、形はどうであれ「なんでもいい」と思える瞬間がある。
そしてその「なんでもよさ」を生み出すということは、とても大変であるということも学びました。

今回は三度目の共演となるのですが、それでも最初は20分の「作品」を作ろうとしていました。
しかしリハーサルを続けていくうちに「毎回違う道を通る」ということをしてみたいという結論に達しました。

初めから阿弥さんは音楽、僕はダンスと領分を分けるつもりはなかったのですし、今までもお互い動き、お互い声を発するパフォーマンスをしてきましたから、阿弥さんとなら、いろんな制約や決まりを捨てても成立するような自由さを獲得できるような気がします。

今回はお互いが今までやってきたことをフルに使って、四回本番、四回の旅をするということに決めました。

自分の作品が作品と呼べるかどうか、自分のことなので客観的に紹介文を書く事が難しいのですが、今回の作品は、おそらく毎回違う印象をお客さんに与えることになると思います。

意見も様々、感想もバラバラになると思います。しかし僕は今、それで良いと思えます。
むしろ山崎阿弥さんという人を京都に呼んできて、同じことを4回やるなんてもったいない。4回のチャンスをフルに活かして、今までたどり着いたことのないところに行ってみたい。
それが今回のテーマになりました。

正直、企画の代表としては、若手振付家の作品発表の場という設定を自分でしておきながら、自分はいわゆる反復可能な「振付」というものにこだわらないというスタンスを取ることに、迷いが無かったわけではありません。
これだけ不確かなものをラインナップの中に挟むことが、全体にどのような影響を及ぼすか、そのことも考えなかったわけではありません。

しかし、今回、参加していただいた皆さんのダンスをそれぞれ実際に稽古場で見させていただく中で、それぞれにすばらしくて、自分は「これでいい」と思いました。

そもそも振り付けの定義というものは様々有り、反復可能なものだけが振付ではありません。さまざまな振り付け方法があり、そのどれにも面白さがある。私は今回最多人数の参加振付家の皆さんに後押しされて、この決断をすることが出来たと考えています。

KDCが三年目を迎えるにあたって、僕自身もこの企画に教えられ、鍛えられてきました。
今自分がどうすべきなのかは、いつも人に教えられます。しかし結局のところ決断するのは自分自身です。

ぜひ、京極朋彦×山崎阿弥を劇場に見に来てください。
お待ちしております。

2014/07/14

KYOTO DANCE CREATION vol.3 参加振付家紹介パート3

さて、本日はKDC参加振付家紹介パート3といたしまして、きたまりさんの稽古場にお邪魔させていただいた時の事を書かせていただきます。写真はですね、あんまり本編と関係ない気がしますが、、、。

今回きたまりさんは、このKDCに公募で応募してきて下さいました。
人に参加したいと言ってもらえることは、企画をやっている側としては、本当に続けてきてよかったなと思える瞬間でして、ましてや、自分の先輩にあたる人にそう言ってもらえたことは、とっても嬉しいことでした。

そして今回きたまりさんは気合の入ったソロを踊ってくれます。
きたまりさんと初めて出会ってから、かれこれ10年ぐらいの月日が流れていますが、今、きたさん自身の踊りに、ある変化が起きていると僕は感じます。

それはどう言葉で説明したら良いものかわからないのですが、今回のソロダンス『ヲどろン』には、今までのきたまりさんとは確実に違う何かがある。



それはおそらく、きたさんの今までの活動が無関係ではないと思います。
自身の主宰団体KIKIKIKIKIKIでの活動やソロでの国内外の活動、演劇作品への参加、Dance Fanfare Kyotoのオーガナイズなどさまざまな角度からダンスに携わってこられたきたまりさんが、それらを経て、今、あらためて、真っ向からダンス、踊りというものに立ち向かっている。
その着実な足取りと気概が、踊りを変えていっていると思うのです。

まさにきたまり流『ヲどりのろンり』をリハーサルの時点でビシビシ感じます。
常に辛辣に踊りに向かい続けるきたまりさんの姿に僕はいつも自分自身を問い正されます。
僕なんかが書かなくてもきたまりさんの体が劇場で多くを語ってくれるものと信じています。
ダンスに携わる人は必ず、そうでない人にも是非見てもらいたい、きたまりさんのソロダンスです。

2014/07/12

KYOTO DANCE CREATION vol.3 参加振付家紹介パート2

さて、いよいよ来週、本番を迎えるKYOTO DANCE CREATION vol.3。今日は参加振付家紹介パート2と称しまして、今回公募選出されました、小堀結香さんを紹介させていただきます!

彼女はもともと東京出身でお茶の水女子大学舞踊教育学コースを卒業後、同大学、大学院舞踊・表現行動学コースを修了し、現在は京都市内の一般企業に勤務しつつ、銀河ホール学生演劇合宿事業(岩手県西和賀町)の企画運営に参加するなど、精力的に活動されています。

彼女の踊りを応募映像で初めて見たとき、とても不思議な感覚がありました。それは彼女の体もさる事ながら、「時間の作り方」が独特であるということでした。彼女のプロフィールを覗くと

5歳からモダンバレエ、中学時代から大学時代にかけてジャズ、ヒップホップ、クラシックバレエ、コンテンポラリーなど様々なジャンルのダンスに取り組む。大学院では精神科医・木村敏の現象学をダンサーの目線で解釈しながら、上演における観客の主体的な関わりについて考察

と、あります。

「現象学」!?

なるほど、、、確かに彼女の踊りは体そのものから少し離れたところにある気がします。
踊りは確かに彼女の中にあるのですが、その自意識というか欲望というか、求めるところが少し体から離れている気がして、それが不思議な時間(空間)を作り出しているように思います。

これは僕の勝手な解釈ではありますが。
僕は単純にこの人の起こす「現象」を劇研の空間で見たいと思いました。

今日のリハーサルはかなり細かいところを繰り返し繰り返し練習しているところに立会いました。
体の見え方、感覚、タイミングなど緻密な計画が立ち上がりは消えまた立ち上がりは消えて行く中で、確かのものを拾い集めていくような作業で、このような姿をみれるのはデイレクターの特権かなと思います。とても贅沢な時間でした。

今回「近畿圏一円、ソロもあり」という公募条件に変更したことによって、彼女と出会うことができました。この出会いを、京都の観客の皆様により良い形で見てもらうよう、努めたいと思います。
何より、来週の本番を一番楽しみにしているのは僕自身なのですが!

これからますます活躍していくであろう小堀さんを是非劇場で目撃してください!
お待ちしております。




 

2014/07/08

KYOTO DANCE CREATION vol.3 参加振付家紹介パート1

さて、とうとう来週に迫りましたKYOTO DANCE CREATION vol.3。
現在私は東京在住の山崎阿弥さんと共に、稽古に励みつつ、京都と連絡を取り合い、着々と準備を進めているわけなんですが、昨日、東京から参加してくれる北尾亘さんの稽古場にお邪魔しましたので、ここから一週間で、参加振付家の皆様の紹介を書かせていただこうかと思います!
と、いうことで、第一弾はBaobab主宰、ダンサー、振付家の北尾亘さんです!



はい!いいポーズ!
僕と北尾さんとの出会いは、2010年に遡ります。
当時まだBaobabは旗揚げしておらず、僕もKDCなんて事をやるなんて思ってもみなかったころ。

東京で行われた、60代の出演者でダンスを作るという杉原邦生さんの作品『青春60デモ』という企画のダブル振付助手として出会ったのが始まりでした。
もうその頃からこの人は凄いなと、小さな体に無限の力が宿っているなと感じたのでした。

あれから4年、Baobabは旗揚げから毎年京都に来ていてkyoto experiment関係では同じピンクのアトリエ劇研で踊ったり(プログラムは違いましたが)、シンポジウムをご一緒させてもらったり、昨年はBaobabのアフタートークに呼んでいただいたりと、親しくさせていただいており、今回念願のKDC参加ということで、僕は楽しみで仕方ありません!

今回の作品は『鴨が葱しょって』というタイトルのソロ作品です。
Baobabの北尾亘ではなくD-inclineという名義での出品で、そのコンセプトは

身体表現への意識をより深めたクリエーションを目的とし、身体の可能性を模索する【ダンスに傾く】という意のBaobabの新たな作品創作の括り。これまで主軸となっていた[身体のみならず人間を描く]というテーマから、より身体性・抽象性に重きをおいたワークを目指す。

とあります。ということで、今回は北尾さん自身の身体性、世界観が存分に堪能できる作品になっているのではないかと思います。
稽古場でもなんだかんだ作品意外のダンスに関するあれやこれやを話しているうちに、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

僕が今回彼をD-inclineという形で京都に呼びたかったのは、彼にこれだけの才能がありながら、更にそこではない別の場所を追い求める探究心と挑戦欲を京都の人に見てもらいたかったからです。

東京と京都、環境や作品を取り巻く状況の違いはさておき、この人のダンスへの情熱は並々ならぬものがある。
ダンサー、振付家と名乗るのは簡単で、、それをじっさいに作品にし、観客に届けるということには、並々ならぬエネルギーがいるのです。このエネルギーを見よ!と僕は言いたいし、そのエネルギーを見たい!と思うのです。

そして、そのエネルギーが一番強く現れ、またそれを体現するのが、彼自身の身体、彼のソロなのではないかと思います。

期待は裏切らないはずです。そして僕自身も今回作品を出します。出すからには負けません!
憧れ半分、負けん気半分で呼んできた!というのが本心です。
だって、発足当初から呼びたくて、三年かかったからね!

というのはさておき、本当にこうして京都に来ていただくことができて嬉しく思います。
きっと劇場では、ダンスを楽しんでもらうにとどまらず、ダンスを踊りたくなる、ダンスを作ってみたくなる。そんな高いエネルギーが見られるはずです。
是非劇場に足をお運びください。
よろしくお願いします!!
 
●北尾亘 きたお わたる
(写真クレジット:Masakazu Yoshikawa
 
1987年生まれ。振付家・ダンサー・役者。
2009年ダンスカンパニー「Baobab」を立ち上げ、全作品の振付・構成・演出を行う。(65)
個人としてソロ作品の創作・演劇作品への振付など多岐にわたる。トヨタコレオグラフィーアワード2012オーディエンス賞受賞。