今日紹介するのは僕の大学時代の先輩に当たり、もう何回も共演経験のある芦谷さんです。実は今まで僕が共演してきたダンサーで最も同じ舞台を踏んできた数が多いのが芦谷さんで、演劇も含めると5作品は一緒に舞台に立っています。
その体からは独特のオーラが漂っており、最近は哀愁すら感じられるようになってきました。
そしてその美しい鼻の曲線美。
芦谷さんを一言で語るのはとても難しく、その、つかもうとすればスルリと逃げてしまうような存在感は、ある種の普遍性に開かれています。
極端に言えば、「芦谷さんは何にでもなれる」気がするのです。
姿かたちがニュートラルというわけではないのですが、なぜか着ぐるみを着るように、芦谷さんは変身します。
今回の作品では芦谷さんの武器であるこの「なんにでもなれる」ことを利用しつつも「芦谷さん本人」に迫ってみたいと思っています。その一つが「男、芦谷康介」というものです。
芦谷さんも普段から優しく、穏やかな性格で、怒ったり、怒鳴ったりは一切しないのですが、今回は芦谷さんの欲望の根源的な部分に迫ってみたいと思っています。
そこから新たな芦谷さんの魅力がひき出てくる予感がしているからです。
しかしながら、言うは易し行うは難し。なかなか苦戦しております。僕自身、振付家として走り始めたばかりで、どう一人一人のダンサーに言葉をかければよいか、それぞれの体に合ったレシピを書くことができるかには、常に苦戦しています。
だからこそダンサーから教わることがたくさんあります。
先日、手を叩いて稽古を止める僕を見て、芦谷さんがこんなことを言いました。
「そういえば、手を叩くと何で終わるんやろ?」
日常を生きていることと「はい、スタート!」「はい、ストップ!」の間の時間は、どこを彷徨っているのか?本番をするという意識はいったい何なのか?
この問いは深すぎで、一瞬あっけにとられましたが、目からうろこが落ちるようでした。
明日から小屋入りです。稽古場とは違う空間で、過ごす日々は本番へと向かって行きますが、それは稽古の延長上にあり、日常と地続きの時間軸にあるはずです。
しかしながら本番はやはり、普段とは違う時間が流れるような気がしています。
当日劇場では、きっと芦谷さんが新たな魅力を旗に掲げ、70分の時間旅行のアテンダントをしてくれるはずです。きっと!!
そして次回はいよいよダンサー紹介、最終回!!
芦谷さんの後ろに迫る黒い影!今回大活躍のあの男の登場です。乞うご期待!!
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