楠さんは謎のベールに包まれた人です。彼は僕が開催していたワークショップ「身体能力向上委員会」に参加してくれてことをきっかけに、今回ダンサーとして参加していただくこととなりました。
現在、京都造形芸術大学の四回生で、去年、伊藤キムさんのクラスを受講していました。僕が彼のダンスを始めてみたのはその伊藤キムクラスの授業発表公演でした。
その大きな体を生かしたパワフルな踊りとは裏腹に、普段は穏やかな紳士です。
彼を今回の作品に誘ったきっかけは単純に「この人はなぜ踊るのだろう?」と思ったからです。
それは言い換えれば「この人はなぜ、踊りに向かおうとするのか?その秘密を知りたい」ということでした。
今回の座組みでは最年長の楠さん。にもかかわらず皆の中に違和感なくスッと入りこんでは、時折、とんでもない爆発力を発揮する楠さん。いまだにその秘密は解き明かされていませんが、一つ言えることは、この作品には彼が必要不可欠であるということ。
彼は実はこの作品において、かなり縁の下の力持ち的な役割を果たしています。
皆が向かう方向と、一人違う方向に歩き出しても、それを成立させてしまうような、不動の存在価値を持っている楠さん。
僕は彼の存在に、ダンスという自由について、多くを学ばせて頂いています。
何がダンスになるのか?その問いについて、多くの検証素材をさりげなく提示してくれる楠さんの体は、大きな器のようにこの公演を支えているのです。
ぜひ楠さんのダンスを劇場で目撃してください。新たなダンスの可能性が見られるはずです!
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